ブサイク、街コンに行く
- 第一章 ブサイク、その半生
- 第二章 ブサイク、街コンに憧れる
- 第三章 ブサイク、街コンに行く用意をする
- 第四章 ブサイク、街コンに参加する
- 第五章 ブサイク、悲しみを背負う
- 終章 ブサイク、世界に復讐を誓う
23歳、生まれてこの方、彼女のいたことのない僕が街コンに行ってみた。
行った経緯とその結果を書いていきたい。
そしてブサイクの生き方について、モニターの前のイケメン、フツメン、そしてブサメンのあなたにお伝えしたい。
どうか家族みんなと指をさし、腹を抱えて笑いながら読んでいってほしい。
第一章 ブサイク、その半生
僕、ブサイクは今年で23になる。
それなりに普通な人生だったと思う。
普通に小学校に行き、中学校に行き、高校に行き、バカ大学に入って人生が壊されそうになりながらも、今年無事にそこそこのところに就職できた。
友達もいる。勉強もそこそこ。趣味も学生並みに楽しめたし、部活で青春を感じることもできた。
でも僕は満たされなかった。
学生のころは気づかなかったけれど僕はただ一つのものだけが欲しかった。
彼女だ。
僕の趣味の中にはアニメやゲームがある。
そのアニメの中には、恋愛要素があるものが大半で、ゲームもギャルゲー(死語かも)をそこそこやった。
憧れたし、自分もいつかこんな風に好きな子ができて、好きになってもらえるんだろうなと思った。本気で。
好きな人はできた。中学二年で初恋を体験した。
このことについては書いていたら今回の趣旨と離れていったから、もしモチベーションがあったら別の機会に書こうと思う。
結果としてものすごい勢いで振られた。
それにより、僕は初めて自分がブサイクだということに気付いた。
イケメンではないなと物心ついたころからわかっていたが、普通より下だとは考えたことはなかった。でも初恋を経験して、それが終わったとき、自分を見つめなおすと相当なブサイクだということに気付いた。
僕はアリクイやカピパラに似ていると言われた。(ちなみにカピパラは初恋の人に言われた)
芸能人でだれだれに似ているとかは言われたことはない。ブサイクだから測定不能なのだ。
でも、僕は自分で南海キャンディーズやまちゃんに似ていると思う。
これらの情報を合わせると僕はこんな感じだ。
ちょっと雑だけど、鏡を見たらだいたいこんな感じだった。
ちなみに僕はやまちゃんが好きだ。
南海キャンディーズの予測検索が山崎なのどうにかして。
やまちゃん単体だったら良いのに、アリクイがくっついたせいでクリーチャーにしか見えない。
こんなんだから、まあこの年まで彼女はできなかった。
ちなみに高校が男子校とかではないです。
というか吹奏楽部に入っていたから、なんなら普通の男より女の人と出会っている数は多い。なのにできないから、まあやっぱりそういうことなんだろう。
そして男女比9:1の大学四年間を、悶々と運命的な出会いとかないかなーと思いながら鼻をほじって過ごしていた
そして就職し、すっかり彼女がほしいとかすっぽりと頭から抜けきったとき、ふと見てしまった。街コンの記事を。
第二章 ブサイク、街コンに憧れる
僕が見た記事はこれだ。
勝手に紹介していいのかわからないけど、誰も見てないしいいだろう。
上のリンクだと街コンの記事だとは思わないと思う。
僕も別に街コンの話が読みたいとかではなく、単純に面白そうだなと思って読んだら、街コンで出会った人との話だった。
タイトルからわかるように、オタク女子と付き合って別れた話だ。
こんな話は世にブサイクの数より多くあふれていると思うけど、この記事は一点だけ違った。
オタク女子と街コンで出会ったと書いてあるのだ。
それまで僕の街コンに対するイメージは、行き遅れのおっさんおばさんが茶をしばきあっているようなイメージだった。
でもこの記事を見ると相手の人は美人だという。
思い出補正が入っていたとしても、四六時中見た顔を美人だというのだからなかなかなのだろう。
それに話を見る限り、オタクとしての習性はあるけど、僕は別にどうもおもわないから、こんな人と出会えるなんて
街コン…いいじゃん…
と思った。
ついでにこの人のブログには街コンに参加して習得した技なんかも紹介してあって、それもクソ広告サイトみたいに
「常に笑顔で!女の子を退屈させないで!」
みたいな退屈なクソアドバイスではなく、説得力のあるものだった。(気になる人は上のリンクから探してください)
それに極めつけに、この人は自分の容姿を普通だと言う。
ブサイクだと気づいてから、10数年あまり、自分の顔を凝視することのなくなった僕は自分を普通だと勘違いし始めてきていた。
だからだろう。
思ってしまった。
俺でもいけるんじゃね・・・?
嗚呼、毎日一回でも鏡を見る習慣があったら
嗚呼、この記事を見ていなかったら
嗚呼、僕がそもそも向井理だったら
こんな闇の世界に足を踏み入れなかったのに。
何はともあれ、1人のブサイクが街コンに憧れ、なけなしの金と時間を捧げるのだった。
第三章 ブサイク、街コンに行く用意をする
街コンの記事を見たのは10月の下旬だったと思う。
そこから街コンに本気で行こうと考え、情報を調べ始めたのが10月末、最終週だった。
調べていくうちに、
女:800円 男:8000円
とかいう価格設定や、
公務員(3種とか区別なく)なら5000円
とか
高身長男性限定!
とかを見てすごい行く気をなくしたけど、なんとか条件に合うものを見つけて、なけなしの8000円を払って、時を待つことになった。
参加日は11/3 開始時間は12時50分 開催場所は恵比寿
参加を決めたのがその週の水曜日だったから、水木金は緊張して仕事が全く手につかなった。
遠足の前の日の小学生状態が三日前から続いていた。(僕は遠足の前の日は別に楽しみではなかったけど
なかなかいい感じだった。高校を卒業してからは感じてなかった。久しい感情だった。
若い女の子と楽しくおしゃべりし、もしかしたらそこから仲が進展し、もしかしたら付き合えるかもしれない。
そう考えるとすごいわくわくした。
ついに念願の彼女ができるのだ。
中学生のころから恋い焦がれた彼女が。
そして、ついに当日。
前日に会社の同期と飲んだので、若干本調子ではないが、その日を迎えた。
まず起床 5時に起きた。
酔っぱらって寝たが、やはり緊張してたようで、あほみたいに早く起きてしまった。
開始時間は13時、決戦まで8時間もある。
これだけ時間があれば、万全の態勢で挑める。
とりあえず10時までジョジョ3部を見た。
何やってんだこいつは
10時まで待機していたのは、着ていく服がないから綺麗な服を買おうと思っていて、パルコが開くのが10時からだからだけど、もう少しなんかしろよと思う。
そんなこんなでパルコに行ったが、どの服屋に入ればいいのかが全く分からなかった。
というかどんな服を買おうと何も考えずに行ったから、しらみつぶしに服屋を回ろうと思ったけど、どの服屋に入っても店員に変な目をされる。
まあブサイクには縁遠い店だよなあと思ってたら、どこも女ものの店だった。
普段服を買わないから、ぱっとみで服が女ものなのか男物なのかの判断ができない。
とりあえず、パッと見で男物だとわかるビジネス服の店に入った。
入ったが今度は試着の仕方が分からない。
勝手に着ていいのか、何枚持ち込んでいいのか、来た後はたたまないといけないのか
何にもわからず、びくびくしながら、試着をしていた。
なんだかんだで、ズボンとシャツ2枚、タートルネックセーター一枚を買った。
ここで問題が発生した。
外に出る服を買いに行ったのに、ジャケットを買わなかった。
そしてズボンは裾上げが発生するから、今日は履けない。
結局残ったのはシャツとタートルネックセーターのみ
これじゃ外出られないよ。
結局いつも仕事にきているスーツを着ていくことにした。
何やってんだこいつは
そして第二の問題が発生する。
思ったより時間を使い過ぎていて、街コン開始時間に間に合わない。
何やってんだこいつは
すべてがぐだぐだだった。
だが時は止まらない。
自転車をぶっ飛ばし、僕は駅に向かった。
第四章 ブサイク、街コンに参加する
結局会場に着いたのは、開始時間から10分過ぎたところだった。
乾杯も終わって、場が温まっているところに水を差すように入っていくのかなあいやだなあと思ってたけど、着いたらまだ始まっていなかった。
乾杯は13時からだったみたいで、ぎりぎりセーフだったみたいだ。
そして、宴が始まる。
席は2対2で、なんと会場の男女比が完全に1:1みたいだ。
僕は5人くらいの男で1人の女をとりあうような地獄を想像していたからびっくりした。
嫌が応にも期待が高まる。
もし二人組つくって状態になっても、絶対に余らない。
約束された二人組。
これは彼女できたなと思った。
一組目
そこそこ良い雰囲気だった。
というか今回のグループの中ではかなり良い雰囲気だった。
楽しく話ができて、連絡先も交換できて、1人とは趣味もあった。
でも一組目だったから、どこもこれだけの雰囲気になるだろうと思って、あまり特別な感じはしなかった。
二組目
最悪だった。
相手は女子大生の二人組
僕たちに興味ない感がすごくてびっくりした。
こっちも全く興味ないのだが、とりあえず20分くらいなんだから、なんか話そうと思った。
でも何話しても、地蔵状態で、どうしようもなかった。
沈黙の20分がその場を支配した。
たぶんサクラだったか、イケメン狙いだったんだろうなあ。
三組目
その次に悪かった。
話が合わない。
そして一人の声が小さすぎて、全く聞き取れない。
二人とも穏やかな感じで、僕が求めていたものだったが、穏やか過ぎて、僕の様な絶食系男子には手に負えなかった。
僕が求めているああいう子たちはやりちんに食いつぶされていくのだろう。
このあたりでようやく一組目が素晴らしかったことに気付く。
四組目
三組目の途中でいたたまれなくなり、酒を飲みまくっていたため、このあたりから考えなしに話すようになり、記憶もあいまいになる。
でもそこそこ盛り上がったと思う。
けど結局連絡先交換していない。
五組目
一番気になる組だった。
その日一番の頑張りを見せる。
見せたと思う。
そこそこ盛り上がる。
1人とは趣味も合い、いい感じに話題を出してきたりして、もうこの人にかけようと思った。
自分なりのアピールをして終わる。
連絡先も2人と交換ができた。
六組目
あまり覚えていない。
話は合うし、盛り上がったけど、なんか女の人があまり集中していなさそうだった。
その理由はその後わかる。
結局連絡先交換できていない。
これで終了。
20分*6組の初めての街コン2時間が終わった。
そして終わった直後に、早速事件が起きる。
終了のあいさつで司会のお姉さんが、気になる人はこの後二次会にも誘ってみましょうといっていたから、五組目の気になってた人を誘ってみようと思った。
思ったときにはすでに、僕の失敗は確定していた。
何を言っているかわからねえと思うがなんちゃらかんちゃら
思ったと同時に、そのときその気になる人と話していた男グループが誘いをかけていた。
頭が真っ白になると同時に、僕が最後話していた二人も、どこから現れたのか男二人と話しながら店の外に出て行った。
直後、僕に危機感が襲う。
これはまずい。
一組目の人を急いで探す。
いない。
そして、恋は先手必勝という伝説的名言を思い出しながら、とぼとぼとブサイクは帰路についた。
第五章 ブサイク、悲しみを背負う
終わった直後は、絶望感があったけど、帰っている途中から、連絡先は交換できたし、まあ大丈夫でしょという感じだった。
上の記事で見たように、なるべく早めに連絡は取ろうと書いてあったから、ラインに自分の思いをしたため、次会えないかという旨を伝える。
みんなあの後ところどころで二次会に行っているだろうから、そこで見られるのはちょっと恥ずかしいなあと思ったけど、勇気を出し送った。
30分後 帰宅
誰からも返信は来ていない。
まあそんな30分で二次会は終わらないよなー。
2時間経過
誰からも返信は来ていない。
まあ盛り上がったら2時間くらい行くよなー
6時間経過
誰からも返信は来ていない。
ちょっと涙ぐみ始める。
1日経過
1人から、それも一番気になっていた人から返信が来る。
でも内容としては、これから忙しくなるから、忙しくなくなったら連絡するねというものだった。
ブサイク、悲しみを背負う。
そして、現在に至るまで、ここで連絡先交換した人からは返信が帰ってきていない。
ブサイクは8000円と休日の昼という時間を使い、女に気をつかい、特にうまくもない酒を飲んだだけで終わった。
これでこの物語は終わり。
1人のブサイクが、身の程を知った。
それだけの話。
終章 ブサイク、世界に復讐を誓う
読んでいて思ったと思うが、お前が悪くねと感じると思う。
僕が先手必勝で誘いをかければ二次会行けたんじゃないのと。
その通りだと思う。
僕も思った。
それに気恥ずかしくて、上のアドバイスを実践できていないものもあった。
具体的には、相手の特徴をメモするや、女の人のお酒や料理の残りに気を配って取りにいくなど。
一回目だし、この反省を生かして、絶対女の人と仲良くなってみせると、この街コンが終わって一週間くらいした時には考えていた。
でも8000円はさすがにそうぽんぽん出せるお金ではないから、ひと月に一回にしようというルールを設けた。
そして、今日12/1解禁日だ。
行ってきた。二回戦目
一回戦目で反省した点を踏まえて挑んだ。
気になる人は席替えの前に誘ってみた。
結果
誰も誘いには乗ってくれなかった。
lineの連絡も全く芳しくない。
僕が誘った人が別の人と帰るのを見ると頭がおかしくなりそうになる。
もう頭がおかしいから誘いに乗ってくれないんだろうけど。
やることはやった。
じゃあなぜだめなのか。
答えは初めから出ていた。
僕は世界に復讐を誓う。
聖戦だ。これは。
世界が僕に、僕に不幸を望むというのなら、僕は抗おう。
なぜ耐え続けなければならない。
なぜ顔の醜美で人が判断されなければならない。
変えられない、生まれ持ってのもので何故。
いや、変えることはできる。
現代ならば。
次回 ブサイク、整形する
to be continued...